うそ?ほんと?
Aさんの例をみてみましょう。この方は高血圧のため降圧剤(Ca拮抗薬)を服用しています。普段は140/70くらいだそうです。今回Aさんはインプラント手術を受けることになりました。モニター(自動血圧計などを装備した生体モニター)をつけると、すでに、178/99としっかり上がっています。下の表はモニターのデーターを印刷したものです。ご本人は「これをつけると血圧があがるのヨ」とおっしゃっていますが、さらに器具を用意しだすとさらに血圧は20あがってしまいました。相当のストレスなのでしょう。
危険がいっぱい
勿論、この日も降圧剤は飲んできています。手術では、局所麻酔薬が使われます。この局所麻酔薬も血圧をあげる成分を含んでいます。この調子では、これからどれだけ血圧があがるか心配になってきます。
むし歯の治療であれ、神経をとる治療であれ、抜歯であれ、インプラント手術であれ、歯科治療はほとんどは、過大なストレスを患者さんに強いることだらけです。長寿時代となり、Aさんと同じように多くの方が、高血圧と診断され、いろいろな降圧剤を飲んでいます。そんな方々は、歯科治療をあきらめなければならないのでしょうか。
画期的な方法があります
静脈鎮静法は、大変な効果があります。①にミタゾラム3ミリグラムを静注します。3分ほどで効果がでてきます。約30分後には、122/73にまで下がっています。効果は約1時間は続きます。極めて安定した循環状態を得ることができます。
ところで、②に203/108という数字があります。これは局麻剤の効果がうすれ、Aさんが疼痛を訴えた時です。それで作用時間の長い局麻剤マーカイン1mlを投与しました。疼痛が血圧上昇させることがよくわかります。
モニターもない施設はいやですネ
かつて公的な施設で、日曜祝日の救急診療をおこなったことがありました。施設では、最低限の歯科治療はできるのですが、モニターがありません。そのため麻酔するのにも、患者さんの状態が客観的にわからないため、大変緊張しました。術者、患者さんともに安心して治療を行うためには、モニターはなくてはならない装備ではないかと思います。