どこまで治る?(1)

なおそうと固く決意しても、治療終了時どのようになるのかをイメージすることは、患者さんにとって難しい。患者さんの多くは、歯科治療の治療メニューにどんなものがあるのかについて十分な知識もなく、ましてや術者が達成できる技術レベルについて治療前に知ることなどほとんど不可能に近いからです。

例えれば、中華料理の看板をかかげ、料理メニューもほとんど網羅的にあるが、だからといって、提供される料理がすべて、自分にとっておいしいとは限らないということです。

料理ならおいしくなければ、二度といかなければいいのですが、治療となると、プレイバックすることはできません。では、どうすれば、良いのでしょうか?

それは、患者さん自身がホームページをみる。実際に受診し、説明を受け考えていただく以外ないのではないのかと考えます。

Bさんの症例を見てみましょう。Bさんは40才そこそこの女性。目の大きな印象的な女性です。

口腔清掃状態は良いとはいえません。

「↓」がかっこ悪い(隙と言います)。昔はこのような治療もおこなわれていたが、現在でも時々見る時があります。

レジン前装冠のため、汚れが着いてしまい歯の色が汚い。

下の歯がほとんど見えないくらいかみ合わせが深い。

上顎を鏡で写している写真。一本義歯が入っている。ブリッジを作った後で、歯が抜けたためこのような治療になったのだと考えられます。

下顎は10本の歯しかない。

完全な「すきっぱ」。歯と歯の間に隙間があり、ばらばらに並んでいるという意味です。

むし歯になっている歯もあります。放置は自分自身の歯を壊しているのと同じです。

 

レントゲン写真を見て見てみましょう。

上顎では、少なくとも、5本の歯を抜く必要(☆)があるようです。

Bさんの希望は

①咬めるようになりたい。そのために、必要ならインプラントを植えてもよい。

②きれいな歯になりたい。必要なら矯正治療もおこないたい。

 

治療するにあたって、Bさんの難しい条件

①上顎臼歯部には、骨量が少ないため、サイナスリフト(骨移植)なくして、インプラントを入れられない。

②矯正治療をするにしても、期間の問題もあり、治療目標をどこに置くか決める必要がある。また、どの治療ステージから矯正治療を始める のかといった問題がある。

③上顎前歯部に許容できるようなシンメトリーを最終的に達成できるのか。

④咬合拳上をする必要があるが、どう矯正治療とからめていくのか。

といった点が問題になると思います。結果的には、インプラントは上顎5本、下顎2本、下顎前歯部を中心とした部分的矯正治療、上顎フルブリッジの補綴治療、下顎前歯ホワイトニングとすべての治療を終了するのに、1年2か月かかりました。

 

 

 

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